No.7 頻発するテロ事件

 またもやというか、フランスでテロとされる事件が起こった。犠牲者の方々に深く哀悼の意を表す。
 しかし、今回の事件ではISが犯行声明を出したが、容疑者とISとの直接的な関与についてはまだ未解明である。報道によれば、ISの全世界に対するテロ活動の呼びかけに容疑者が応じた、とのこと。今後、同様の事件が世界各地で起こるリスクが指摘されており、各国のテロ対策の強化とともに、個人レベルでも自分の身は自分で守るという意識を持つことが必要である。
 アラブ社会、もしくはイスラム社会の歴史を紐解くと、近代史においては石油の存在と切っても切り離せない。欧米諸国は産業革命後に、中東の石油に目をつけて、各地を植民地化し、第二次大戦後各国が独立したのちも、石油産業を背景に中東諸国の王家や独裁政権と結びつき、影響力を行使してきた。しかし、近年はシェールオイル産出などを機に石油価格は低迷し、米国も財政難などから中東への影響力を相対的に低下させてきている。その間隙をぬって、サウジなどへのロシアの影響力が強まるなど、中東での政治・軍事バランスが揺らいできている。
 2010年のチュニジアに始まった「アラブの春」は、アラブ諸国の民主化運動とされる。欧米諸国とつながった独裁政権などへの反発が一つの要因になっている面もあるが、同じアラブ諸国間でも宗派や民族の違いから、対立や連携を繰り返すなど、複雑な様相を示している。特に、現在ISの支配地域に一部がなっているシリアやイラクは複数の民族と宗派が入り混じった地域である。
 今回クーデター失敗に終わった(?)トルコは、シリア及びイラクとも国境を接しており、イスラム教ではある(大半はスンニ派)が、民族的にはトルコ人という非アラブであり、エジプトなどと同様に欧米文化を受け入れる世俗主義社会と言われる。昔から非常に親日国家であり、欧州とアジアにまたがり、EU加盟を目標としている。欧米のIS空爆に賛同し、空爆機の発着飛行場を提供するなどから、ISの恨みを買って、テロ事件が相次ぐなど、トルコの情勢は不安定感を増している。
 個人的にも、昔(30年ほど前)仕事で一度行ったことがある。首都アンカラは政治の中心地で、山に囲まれた中東の街という印象が強いのに対し、イスタンブールは海と海峡の橋、そして近代的なビル群と東欧的な家並みが併存する美しい街である。トルコ料理が世界の三大料理の一つであるのも、イスラム社会の食文化を代表するという所以だろう。(香辛料のきいたシシケバブは一度食べたら病みつきになる。)
 かかるトルコという国が、今後の世界の動向にとって、重要なカギを握る国の一つになりそうな予感がする。できれば紛争のない平和な世に向けて、進んでいってもらいたいと切に願う。