NO.13 川口に住んで

 イラストはキューポラをイメージした、川口市のゆるキャラ「きゅぽらん」です。

注)左の製鉄所写真はイメージです。

 


 私が川口に住むようになったのは約10年前のことです。当初は縁もゆかりもなかったのですが、都心に近くて便利な場所でマンションを探していて、この地を選択しました。住み慣れた今では良い選択をしたなと思っています。
 川口と言えば、ある程度の年齢の方は吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」を連想することでしょう。キューポラというのは鋳物工場の煙突ですが、近年は市場不況の波のために、市内の鋳物工場はめっきり少なくなりました。その跡地に、私の住んでいるところもそうですが、マンションが立ち並ぶことになっています。
 しかし、そういう中でも、長年の鋳物製造の技術力を活かして、色々な製品を作り出し、頑張っている中小企業は少なくありません。同じマンションに住むお友達のOさんが、市内の鋳物製品工場に勤務されていて、先日無理を言って工場見学をさせて頂きました。(通常は団体しか工場見学できない。)
 初めて見る製鉄所の現場はさすがに迫力がありました。製品によっても違うのでしょうが、使用する粗鋼、鋳型の砂、研磨材、など各工程にこだわりの素材があるとのことでした。そして、やはり圧巻はどろどろに溶けた銑鉄を鋳型に流し込む工程です。千数百度もある白色の銑鉄が大きなバケットに入り、それを作業員の方が傾けながら鋳型に流し込んでいく時は緊張の一瞬です。
 この会社では、色々な製品を作っているのですが、マンホールや下水道管などが主力製品とのこと。また、最近では鍋やフライパンなどの調理器具も作っている由。板金加工よりも鋳物製品の方が熱伝導に優れ、美味しく料理ができるそうです。但し、鋳型に流し込む時に、まんべんなく均一にしないと、厚さが一律でなく不揃いになりやすく、高度な技術が必要だそうです。
 それから、旧国立競技場の聖火台が川口の鋳物工場の製品であったことをご存知の方もあると思います。2020年の東京五輪の聖火台については、現時点では未定のようですが、また川口の鋳物の製造技術が活かされることを期待しています。