No26 子供時代の危険な遊び

 今回は私の子供時代の話から、最近あった事を書かせて頂く。
 子供、特に男の子の場合は好奇心旺盛で、大人が思いもつかないような事をしでかすことがままあるものだ。
 私の場合もご多分に漏れず、小さいときは色々な失敗をした。チャンバラごっこで、林の中にあった棒切れを振り回して遊んでいたら、それがハゼの木の枝だったので、全身が真っ赤にかぶれてしまった、などはまだかわいい方だ。
 危ないことは色々やったが、やはり火にまつわる事は危険だ。焚火の上に跨り、おならをして一瞬火だるまになったりしたこともある。(これは結構やった人もいるかもしれないが、衣服に燃え移って大火傷になる恐れもあり、絶対まねはしないように!)
 しかし、小学校の2年生ぐらいの時に、危うく命を落としかねないことがあった。当時、私の家は福岡県八女市にあった。母が近くの花火工場の内職で、自宅で線香花火を作っていた。ある日、子供の私は何を思ったのか、その火薬をこっそり拝借し、牛乳瓶に詰めて火をつけようとしたのだ。寸前のところで父と母が気付き、大慌てで私を止めてくれた。あと1秒遅かったらどうなっていたか、今思うとぞっとする。
 そんなこともあったので、母は翌日、花火の内職をやめることになった。苦しい家計をやりくりするために始めた内職だったはずだが、子供にとって危険なものを家に置いていてはいけないと父と話し合ったのだろう。全く世話の焼ける子供だった。
 しかし、そんなことがあった後で、悲惨な事故があった。くだんの花火工場で爆発事故があったのだ。自宅が国道沿いにあったので、目の前を何台もの消防車や救急車が行きかい、けが人を搬送していった。軽トラックの荷台に、衣服が焼け焦げて火傷を負ったけが人が乗せられていく様が、子供ながらに目に焼き付いて、しばらく頭から離れなかったのを覚えている。
 昨今、我が子に対する親の虐待の事件のニュースを多く聞くが、とんでもないことだ。そういった親は、皆自分自身の生活のことしか考えず、子供に目配りが出来ていないのだろう。小さな子供を守ってあげられるのは親しかいないではないか。その親から虐待されたら、子供は誰をすがればよいのか。社会全体が、自分のことしか考えず、他人がどうなろうが気にしない世の中になっている。
 先日、早朝ウォーキングで荒川沿いを歩いていると、40代くらいの女性が一人、土手の斜面に佇んでぼうっと川の方を見ていた。その時は、何か変だなとは思いつつも、ウォーキングを続けた。しかし、それから10日間ほど、その女性はどうやらその場所でビニールシートを敷いて、寝泊まりしているようだ。草むらの中、ビニールシートにくるまっているようなので、通りがかかりの人にはゴミにしか見えないかもしれない。しかし、私は最初に女性の姿を見ているので、どうやらその女性が寝ていると思った。だが、今年は11月に入ってかなり寒くなったので、そんな場所で10日間も寝泊まりするなんて明かに異常だ。一度、声をかけてみたが反応がない。
 数年前に、その直ぐ近くの場所で自殺死体を私は目撃したことがあり、そのことも気がかりになった理由だ。もしかしたら、という思いで緊急通報した。ほどなくして、消防車、パトカーが駆けつけて、ビニールシートに寄っていく。救急隊員が声をかけ揺すってみると、女性がむっくりと起き上がった。生きていた!
 どういう事情があったのか知らないが、まずは生きていて良かった。その女性のその後の消息などもわからないが、しっかりと生きていってほしいものである。