No.36 インバウンドビジネス

 先日、東京都中小企業診断士協会中央支部国際部の主催するインバウンドビジネスのセミナーに参加した。政府もオリンピック開催に向けて、訪日外国人の増加を睨んだ色々な「おもてなし」ビジネスを推進する中で、中小企業診断士として何ができるか、ということを模索する良い機会になった。
 中国出身者及び中国駐在中の日本人、米国出身者、など、色々な立場の講師陣から、それぞれの考え方や経験談などを聞けて、非常に参考になった。インバウンドのみでなく、アウトバウンド(EC取引による輸出)も日本製品・日本文化をアピールして、親日派を増やしていくことでは同じであるとの考えには全く同意である。また、短期的な観光目的の訪日客だけでなく、既に在日の居留外国人を意識したアピールが必要であるとの考えも全く同意である。
 講義中の資料で、訪日外国人数のグラフ(掲載図1)があったが、参考に在留外国人数を調べてみた(掲載図2)。やはり、中国人をはじめとしたアジア各国が多いことがわかる。
中国人の場合は、在留目的別にみると、技能研修や留学が他国に比べて多い。また、短期的訪日に比べて、フィリピン、ブラジル、ベトナム、などが在留者数が多いことがわかる。製造業・飲食業などで出稼ぎに来ている人が多いからだ。
 既にそれらの現場では、多くの外国人労働者・研修生が働き、生活をしているわけで、今後ますます言語、生活慣習、など、色々な面で住みやすい環境を整えていく必要がある。(もっとも、日本人自身がもっと住みやすい社会づくりが必要ではあるのだが。)
 セミナーの中でも話があったが、中国人と言っても、北の黒竜江省の人間と、南の広州の人間では、言葉も違う、食文化も違う、というように、十把ひとからげにできない面がある。私も中国駐在時には、北京、上海、大連の各市政府で税制の解釈・運用が違って苦労した経験がある。それぞれの個人がどのような立場や特徴を持っているかをまずは理解し、それぞれに対応する必要がある。なかなか難しいことだが、日本人にはそれを受け入れる寛容さがあるものと思っている。