No.44 河川敷の鳥たち

 朝、荒川土手を歩いていると、河川敷に色んな鳥が集まってきている。四季折々で見かける鳥の種類も違うが、それらの鳥の様子を見るのも歩く楽しみになっている。
 河川敷で年間を通じて一番特徴的でよく見かけるのはムクドリ(椋鳥)だ。全長20㎝くらいで、ややずんぐりむっくりした体に、黄色いくちばしと足が目に付く。数十羽から多いときは数千羽の群れをつくることがある。夕刻になると街路樹などを寝場所にして群れが集まってくることがあるので、鳴き声とフン害で迷惑を被ることがある。しかし、昼間河川敷で見かける時は、1~2mの近さまで近寄っても逃げないで、結構人慣れしている。土手や河川敷のミミズや虫などを捕食しているようだ。丸っこい体がなんとも愛らしい。
 この時期によく見かける鳥で言うと、ヒバリだろうか。全長は17㎝くらい。頭に冠のような羽が立っている。ムクドリと同じように、草むらなどでよく見るが、ムクドリほど多くの群れはつくらない。上空を飛んでいるときなどに、ピーチュルピーチュルといった鳴き声をするのが特徴だ。まるで歌でも歌っているようで、聞いていて心地よい。「ピーチクパーチク、ヒバリの子」などと言われる所以だ。
 美しさの点では、ハクセキレイが私の一押しだ。全長は20㎝くらい。ツバメのようにスマートで白と黒のツートンカラーだ。あまり群れずに1~2羽でいることが多い。道路や駐車場など、人の目の前に飛んできて、長い尻尾をピクッピクッと振って歩くさまは、まるでダンスを踊っているようで、人に見せたがっているかのようだ。さしずめ鳥の貴婦人という感じだ。
 ちょっと変わったところでは、カワウなど。全長は70~80cm程度。全身黒で首が長い。長良川の鵜飼いで有名な鳥だ。季節的にはどちらかというと冬鳥だ。数羽程度の群れをつくっていることが多い。荒川や芝川の川面に浮かんで、時々水中に潜って魚を捕食している。一度潜ると数秒から10秒程度水中にいる。浮かんでくる場所を推測するのも一興だ。
 色んな鳥たちがいるものだが、人間の生活によって鳥の生態も変化してきているようだ。カラスなどはその最たるもの。人間が出すゴミを漁って、中のものを食べたり、巣作りの材料にしたりする。クリーニングの針金などはよく巣の材料にされるらしく、電線の上に巣をつくった時などは、ショートして停電になることもあるそうだ。
 スズメは極めて普遍的な鳥の代表格だが、50年位前に比べたら少なくなってきているように感じる。昔の大人は、よく捕まえて焼き鳥にして食べたりしていたが、今はそんなことをする人はいないだろう。それでも、昔ほどスズメの大群を見かけなくなったのは、カラスなどの環境変化に対応して数を増やしている鳥に比べ、環境変化に適応しきれていないのだろうか。